006   写俳三人展                   2006年 如月の頃



     平成十八年。立春を過ぎ暖かい日も増えてまいりました。とはいえ三寒四温、寒い日も有ることでしょう。
     まだまだ油断をせずに過ごしたいと思います。

      新年のご挨拶が遅くなりましたが本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 しばらく前までは東京でも寒い日が続き、先月は東京でも珍しく雪がたくさん降り、久しぶりに一面の雪景色となりました。
梅鉢屋の界隈でも10センチを超す積雪が見られました。東京の雪はやめばどんどん溶けて、日陰で氷のようになったもの
でさえ1週間も過ぎたころにはすっかり消えてしまいます。しかし、北日本では普段に増しての大雪の報。
昨年末からの大雪で亡くなる方も含み色々な被害が報じられております。寒さが緩んでくるとさらなる被害も予想される
とのこと。被害に遭われた方へは何も出来ませんが心よりお見舞い申し上げます。

 さて、今回お話させて頂きますのは 俳句と写真のコラボレーションとも言うべき『写俳』についてです。
 
「写俳」あまり耳慣れない言葉ですが、実はこんな生い立ちがあるのです。
「写真」と「俳句」 この全く違う二つのジャンルのものによって複合的な効果を挙げる楽しさが写俳だそうです。

・・・・・写真という視覚芸術と俳句という言語芸術をクロスオーバーさせること・・・・・
・・・・・選び抜かれた十七文字の言葉と、レンズが切り取る一瞬の情景が重なり合うこと・・・・
 
 

 写俳は尼崎在住の俳人 伊丹三樹彦氏(大正9年生)のご提唱で1969年頃から始まったものだそうです。
伊丹氏が俳人仲間とヨーロッパ旅行に出かけた折りに偶発的に生まれたいきさつは、もともと写真家でもあった氏が
旅先で撮影に夢中になるあまり、句を詠まないままに帰国し、その後、写真を見ながら句を詠む作業をしたということ
からだそうです。そこから「先写後俳」と呼ぶ独自の俳句様式が生まれたとのことです。

伊丹氏は 「俳句の眼で写真を撮る 写真の眼で俳句を作る」 その相乗効果の一例として
 「俳句以前に写真の眼、撮影以前に俳句の眼、写俳作業に託すのはその複眼構造」 と申されます。


梅鉢屋は平成13年12月に店舗を新装し開店致しましたがそれを記念して翌年新春に店内茶寮を
特設ギャラリーとして、高校の同窓生である3人 による「写俳三人展」を開催致しました。
写真撮影はさいたま市在住の塩野 雅様。俳句は都内在住の 秋葉舟生(ふにゅう)様と 鈴木壽子様です。
作品は11点ありました。その中からいくつか下記にご紹介させて頂きます。




 展示の様子


  課題「古代蓮」
 
  清らかな命現る古代蓮    舟生
 
  古代蓮時の流れに実を飛ばす   壽子


課題 「サギソウ」

風あればさぎそうの鷺ランデブー  舟生

鷺草や思い丈なす九十九髪   壽子


  課題「高嶺ルビー(赤ソバの花)」

  そばの花山のもも色吐息かな   舟生

  心まで紅く染まりて蕎麦の花    壽子




                        三人のプロフィール
       

     秋葉 舟生(弥一)   俳人協会会員
         ふにゅう       俳文芸誌「筑波」主宰
                   東京やながわ俳句会代表
                   平成14年度筑波賞受賞
                   秋葉病院理事長
                   現役の外科医として俳句を詠む

     鈴木 壽子       俳人協会会員
                   俳文芸誌「筑波」同人・事務局長
                   東京やながわ俳句会所属
                   平成15年度筑波賞受賞
                   主婦の目を通し生活に密着した句を詠む

     塩野 雅         定年退職後好きだったカメラを手に
                    主に花の写真を撮る
                    1998年朝日新聞
                      「読者の新聞写真」年間賞受賞
                      受賞作品 『雪まくり』
                    以後個展・グループ展などで活躍



特設ギャラリーでの展示は半月ほどでしたが、その後平成15年5月からは店内の一郭に月替わりで
作品を展示させて頂いております。今回見聞録にご紹介させて頂くのを機会に今まで展示頂いた作品を
お借りし、このホームページ上でご紹介させて頂く事を快くご了承頂きました。下記にいくつかご紹介致しますが
作品が多く有りますので梅鉢屋メインメニューに「写俳三人展」を追加し、過去の作品を収蔵させて頂きます。
どうぞ楽しみにしていてくださいませ。
また、新しい作品はトップページでご紹介させていただくつもりです。







天竜の茶山のいろはにほへ介里    舟生
     
三界に緑つらなる茶摘時         壽子

茶山                      雅





はじめて月替わりで展示したもの 平成15年5月



  理科の目やしずり雪撮り賞を取る    舟生

  想い出をくるりと巻いて去年今年     壽子

  雪まくり                     雅


  平成16年1月



  拉致睨む雛の嘴初日影     舟生

  母さんの温もり貰うお正月    壽子

  キジの親子              雅


   平成17年1月



  不二山へピンピンコロリ寒落輝   舟生
 
  情念を埋火として開耶姫       壽子
                  
  ダイヤモンド富士            雅


    平成18年1月


塩野様・秋葉様・鈴木様の3人は2004年に三人の年を足すと「200歳」になり、「200歳写俳展」を築地の画廊で
定期的に開催されるようになりました。今後の予定などもお知らせ出来ると思います。

また、俳句を担当されている 秋葉舟生さんは昨年10月に 秋葉舟生句集 『小刀(メス)握る』 を東京四季出版
より上梓されました。
長年外科医として活躍されており、未だにメスを握る秋葉さんならではの句が納められております。

   
    小刀(メス)握る事いつ断つか寒に入る        句集名はこの一句からつけられたそうです。   


       興味のおありの方は私共へご連絡下さい。ご案内差し上げられると思います。




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